tidb_external_ts変数を使用して履歴データを読み取る

履歴データの読み取りをサポートするために、TiDB v6.4.0 ではシステム変数tidb_external_tsが導入されています。このドキュメントでは、詳細な使用例を含め、このシステム変数を使用して履歴データを読み取る方法について説明します。

シナリオ

指定した時点からの履歴データを読み取る機能は、TiCDC などのデータ複製ツールに非常に役立ちます。データ複製ツールが特定の時点より前のデータ複製を完了した後、下流の TiDB のtidb_external_tsシステム変数を設定して、その時点より前のデータを読み取ることができます。これにより、データ複製によって発生するデータの不整合を防ぐことができます。

機能の説明

システム変数tidb_external_ts tidb_enable_external_ts_readが有効な場合に読み取る履歴データのタイムスタンプを指定します。

システム変数tidb_enable_external_ts_readは、履歴データを現在のセッションで読み取るか、グローバルで読み取るかを制御します。デフォルト値はOFFで、履歴データの読み取り機能が無効になっていることを意味し、 tidb_external_ts値は無視されます。 tidb_enable_external_ts_readがグローバルにONに設定されている場合、すべてのクエリはtidb_external_tsで指定された時間より前に履歴データを読み取ります。 tidb_enable_external_ts_readが特定のセッションに対してのみONに設定されている場合、そのセッションのクエリのみが履歴データを読み取ります。

tidb_enable_external_ts_read有効にすると、TiDB は読み取り専用になります。すべての書き込みクエリはERROR 1836 (HY000): Running in read-only modeのようなエラーで失敗します。

使用例

このセクションでは、 tidb_external_ts変数を使用して履歴データを読み取る方法について例を挙げて説明します。

  1. テーブルを作成し、テーブルにいくつかの行を挿入します。

    CREATE TABLE t (c INT);
    Query OK, 0 rows affected (0.01 sec)
    INSERT INTO t VALUES (1), (2), (3);
    Query OK, 3 rows affected (0.00 sec)
  2. 表内のデータをビュー。

    SELECT * FROM t;
    +------+ | c | +------+ | 1 | | 2 | | 3 | +------+ 3 rows in set (0.00 sec)
  3. セットtidb_external_ts@@tidb_current_ts :

    START TRANSACTION; SET GLOBAL tidb_external_ts=@@tidb_current_ts; COMMIT;
  4. 新しい行を挿入し、挿入されたことを確認します。

    INSERT INTO t VALUES (4);
    Query OK, 1 row affected (0.001 sec)
    SELECT * FROM t;
    +------+ | id | +------+ | 1 | | 2 | | 3 | | 4 | +------+ 4 rows in set (0.00 sec)
  5. tidb_enable_external_ts_readからONに設定し、表のデータを表示します。

    SET tidb_enable_external_ts_read=ON; SELECT * FROM t;
    +------+ | c | +------+ | 1 | | 2 | | 3 | +------+ 3 rows in set (0.00 sec)

    新しい行が挿入される前にタイムスタンプにtidb_external_ts設定されるため、 tidb_enable_external_ts_readが有効になった後は新しく挿入された行は返されません。

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